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 TOP >> ABOUT CAT- STREET >> ROCK曽根崎心中 国立文楽劇場レポート

ROCK曽根崎心中

御存知、宇崎竜童氏の音楽活動30周年記念として昨年、実に20年ぶりに再演されたロックと文楽のコラボレーション「ROCK曽根崎心中」が今年4月末、ついに文楽の本拠地である「大阪国立文楽劇場」での公演を実現させました。

 

    STAGE DOOR        客席     客席2
  STADE DOOR 意外とシンプル   客席 客席は勾配が緩やかになっていて観客は低い位置から舞台を見るように設計されています。
ぐるりと提灯がついているのにはビックリ!

 

文楽との初共演は1980年、渋谷のライブハウスで古典文楽の芸術家を招き「曽根崎心中PartU」と銘打って行われました。
「ダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンド」時代にのことです。

そして昨年、草月ホールにて新たなユニット「新★竜童組」を結成しての再演となりました。
「新★竜童組」には宇崎氏が現在に至るまでに組んだ数々のバンドより豪華メンバーが集結。
まずはダウン・タウンから現在も活動を共にしている和田静男氏(Gt)
竜童組から柳沼寛氏(Sax)と川崎真弘氏(Key)
RUコネクションから琢磨仁氏(Bass) そうる透氏(Dr)
近年共演の多いアラビンディアから太田恵資氏(Vl)
そして今回が初顔合わせである和太鼓奏者の響道宴氏
配役としてお初をシンガーソングライターの尾崎亜美さん 徳兵衛を宇崎竜童氏 仇役、九平次を力也(安岡力也)氏が熱演されました。 

物語は近松門左衛門作のあまりにも有名なお話なのですが、醤油屋の手代徳兵衛と遊女お初が心中に至った原因となる銀二貫目とは現代の価格にすると約130万円程度だそうで、何も死ぬ事はないだろうと思ってしまうのは私だけしょうか。
しかしそこがまた大衆の胸を打ち涙を誘い大ヒットにつながったようです。

さてロックと文楽のコラボレーションとはどんなものなのかさっぱり想像がつかないと思いますので軽く説明致します。
(但し私が古典文楽の方を全く知らないものですからツッコミはご勘弁を)
「ROCK曽根崎心中」は全編を通して阿木燿子作詞、宇崎竜童による楽曲で構成されています。


 

第一幕

荘厳な和太鼓のソロ演奏で幕が開けると
M1
「西国三十三ヶ所お札所めぐり」
と続きます。
  一番目の天満大融寺から三十三番目の平野新御霊までのお寺が淡々と歌われる曲で
  ここでは十八番目の生玉本誓寺までが演奏されます。

 以下写真をクリックすると大きい画像がご覧になれます

    ヴォーカル3人 セットは三層の雛壇になっていて最上段がヴォーカルの3人です。

M2「生玉恋参り」 お初の登場。(お初実に美しいです)
  愛しい徳兵衛が最近ちっとも逢いに来てくれないので「お願い逢わせて下さい」とお参りに来るのです。(けなげだ)

      生玉恋参り 上手からお初。実に女らし〜くて息を呑むほどの美しさです。

M3「風の噂PartT」
  そこへ徳兵衛登場 
  徳さまが在所(遠く離れた場所)に行ったとの噂を聞いて淋しくて病気になっちゃうじゃないと詰め寄るお初。
  ちょっと厄介事があって連絡出来なかったけどお前を忘れた事なんて一度だってないよと徳兵衛。

    風の噂PartT お初「どうして最近会いに来てくれないの?」

M4「風の噂PartU」 厄介事とは…
  働き者の徳兵衛に醤油屋の主人の姪と縁談の話が持ち上がった。
  徳兵衛の継母は金に目がくらみ銀二貫目で勝手に縁談を受けてしまった。
  徳兵衛は「自分は天満屋のお初という心に決めた人がいる」と断ったが主人は激怒し「だったら七日までに渡した金を返せ」と言い出した。
  徳兵衛は継母から金を取り戻したのだが親友の油屋の九平次に「ちょっと一日必要だから」と頼まれてその金を貸してしまった。
  しかし三日を過ぎても九平次は金を返してはくれない。
  徳兵衛大ピンチ!    

M5「銀二貫目 情が仇」
  九平次登場
  悪人九平次は遊び歩いている。
  徳兵衛は九平次に金を返せと迫るが当の九平次は「何の事よ?」って知らばっくれている。
  徳兵衛が借用証に押した九平次の判を見せるが偽造したんだろうと逆に悪者にでっち上げられてしまう。
  (力也さん筋金入りの悪人ぶり。迫力です。怖いっす)
  二人は争いになるが九平次側に町衆も加わり徳兵衛はボコボコにやられる。

    銀二貫目 情が仇 下手 九平次 上手 徳兵衛 「フムフムなるほどこれは確かに俺が落とした判だが…」

M6「口惜しゅうござる」
  ボコボコにされた徳兵衛。口惜しさと無念さを抱えその場を去る。
  (徳兵衛見せ場!ボコボコの顔を傘で隠しゆっくり去って行く姿は口惜しい気持ちがひしひしと伝わってくるのだ)

M7「恋の闇路」 場面は天満屋に変わる
  目の前で徳兵衛がボコボコにされるのを見てしまったお初。
  独り心を痛めている。

M8「お初堪忍」
  そこへ徳兵衛現れる。
  「徳さま怪我は無い?」心配するお初。
  悪巧みにまんまとはまってしまって不運な徳兵衛。
  お初はうちかけの裾に徳兵衛を隠し入れ天満屋にかくまう。

    お初堪忍 徳兵衛を天満屋の縁の下に徳兵衛をかくまうお初

M9「曽根崎新地どん底あたり〜郭の恋」
  九平次またまた登場
  徳兵衛を騙し、酷い仕打ちをしておきながら超能天気である。
  そのうえお初を口説くという無神経な奴。
  お初は徳兵衛と離れるくらいなら死んだ方がましだと思う。
  そして能天気な悪人は次の店へ行こうと捨て台詞を残して去る。

M10「夜の闇路」
  店仕舞いして真っ暗の天満屋。
  縁の下に隠れていた徳兵衛とこっそり抜け出して来たお初。
  闇の中お互いを手探りで探しあう二人。ついにめぐり逢い手に手を取り合い逃亡する。

…幕…

 


第二幕

M11「紅蓮」
   宇崎氏が曽根崎心中をテーマに新たに書き下ろした曲
   阿木さんの詩と絶妙なコンビネーション。これぞ宇崎ワールド!
   この一曲だけでも泣けるのだ。(真っ赤になる照明もカッコいいよ)

    紅蓮 リーダーカッコイイっす

九平次逮捕される…
  そうです九平次は悪事がばれて御用になってしまいます。

M12「どうで女房にゃ持ちゃすまい」
   道行と言われるシーン。
   天満屋から逃げ出した二人。死に場所探しの道行である。

    どうで女房にゃ持ちゃすまい

M13「この世の名残り夜も名残り」
   心中を決意した悲しい二人のこの世への名残を強く感じる。
   「鐘の響きの聞き納め」と言う詩が悲しい。

      この世の名残り夜も名残り 「徳さま、はやく殺して下さい」と覚悟を決めて手を合わせるお初

M14「恋の道行き死の手本」
   なんと徳兵衛は25歳 お初は19歳なのだ。
   そして「死んだら来世は絶対に添い遂げようね」と誓い合う。
   (もうこのへんにきたら号泣です。九平次は捕まったんだよ〜と叫びたい)
   二人はお互いの身体を帯で結び心中を決行しようとするがなかなか刺す事が出来ないのです。

    恋の道行き死の手本 徳兵衛は何度も何度もお初を刺そうとするのだが…

M15「南無阿弥陀仏」
   ついに徳兵衛はお初を刺した後、自らの命も絶つ。
   二人は静かに天に召されて行く。
   (号泣止まらず)

    南無阿弥陀仏1 南無阿弥陀仏2 ここから一気にクライマックスへ

M16「西国三十三ヶ所お札所めぐり」
   亡骸の上にはらはらと桜の花びらが舞い落ちる…
   十九番からが淡々と歌われるのだがこのシーンでオープニングの続きの十九番からが出てくるのはヤバイくらいの構成力だと思う。
   本当にヤバイくらいシビレます。

    西国三十三ヶ所お札所めぐり 寄り添う二人の亡骸

M17「道行華」
   これは言わばカーテンコールとでも言う感じ。
   あの世で二人が仲良く楽しく踊っている様子。
   (あぁお初良かったね!徳兵衛良かったね!と思って更に号泣)
   1Cho目の亜美さんのヴォーカルは凄いです。ヤバイです。(号泣)
   2Cho目の宇崎さん。胸に来ます。
   これは私的に超凄い曲だと思っています。マジ良い曲です。
   怒りのやり場に困る悲恋な物語ですが、この曲で本当に救われる感じ。

    道行華 3Cho目 お初と徳兵衛がハケると演奏のこりに、文楽のステージではアリエナイ照明!

      お初と徳兵衛 ドライアイスに包まれたステージ 天国で仲良く踊る二人

感激のエンディングなのでした。(会場は大声援…素晴らしい!)

カーテンコール

    BAND
  下手から key川崎氏 Sax柳沼氏 Gt和田氏 Bass琢磨氏 Drそうる氏 和太鼓 響氏 マニュピレーターさん Vl太田氏

    VO
  下手から 力也さん 尾崎亜美さん 宇崎竜童さん

    文楽チーム
  下手から お玉と吉田清五郎さん 九平次と吉田文司さん お初と桐竹紋寿さん 徳兵衛と吉田文吾さん


文楽協会の方々をご紹介致します ROCK曽根崎心中
  天満屋お初・・・・・・ 桐竹紋寿氏
  平野屋徳兵衛・・・・・・ 吉田文吾氏
  油屋九平次・・・・・・ 吉田文司氏
  天満屋亭主・・・・・・ 桐竹紋豊氏
  天満屋お玉・・・・・・ 吉田清五郎氏
  町衆・・・・・・ 吉田勘市氏 吉田玉佳氏
  町人・・・・・・ 桐竹紋臣氏 吉田文哉氏
  取手・・・・・・ 桐竹紋秀氏 吉田蓑紫郎氏 桐竹紋吉氏
  小頭・・・・・・ 吉田清之助氏
  舞台進行・・・・・・ 吉田勘緑氏
   

以上の方々で人形を操っておられます。
お気付きとは思いますが文楽の世界には女性はいません。
女人禁制なのです。(常識??)でも私は知りませんでした。
昨年の草月ホールで初めて文楽人形とその演技を間近で見てぶっ飛びました。
凄いんですよとにかく。
私のように無知な方の為に少し説明します。

文楽人形は世界でも類を見ない一体三人使いです。
面使い(おもづかい)、左手使い、足使いの三人です。
面使いは首(かしら)と右手を担当し全ての主導権をもっています。
ちなみに足使い十五年、左手使い十年と言われています。
どの道も修行は大変ですが面使いへの道はかなり険しいですね。
でも実物を見たら納得。本当に生きてるのです。人形が。

    ダブル徳兵衛 ダブル徳兵衛  トリプル徳兵衛 トリプル徳兵衛

文楽人形の首はヒノキを使っていて、着色はハマグリの殻等を磨り潰した物を塗るのだそうです。
顔の色が白いのは善人で悪人になるほど赤味が濃くなっていきます。
仕掛けの糸は三味線の一弦が使われていて首を上下に動かします。
文楽人形は人間の3分の一の大きさで顔が小さいのが特徴です。
だいたい十二頭身位。
重さは衣装にもよりますが、2〜3Kg。鎧を着ている物は12Kgなんていうのもあるそうです。それを左手だけで支えるのです。
また男人形には足があり、女人形には足がありません。
その代わり着物の裾にボリュームをもたせてあり、裾さばきによって足の動きを表現すると言う訳です。
衣装は公演毎に着付けをします。人形を使う人が自らの手で着付けるそうです。
人形を使う人達は黒衣の衣装を着ています。黒衣は一般にはくろこと読みますが文楽では「くろご」と言われます。
そして面使いの人は下駄をはいていますが、その下駄は扱う役柄によって高さも色々です。
下駄の底にワラジが付けてあり、滑り止めと音がするのを防いでいます。

実は今回の公演の前説で文楽を初めて観る人の為に説明をしてたので、一生懸命にメモってきたのでした。

ROCK曽根崎心中を企画するにあたり、桐竹紋寿氏と吉田文吾氏が核となって作っている松羽目の会の協力がなければ実現出来なかったでしょう。
桐竹紋寿氏が打ち上げの最後に語られた言葉に大変心を打たれてしまい、非常にキツイ現場でグッタリしていたのも帳消しになりました。
「古典文楽の根を絶やさず若い人達にも親しんで貰う為にこれからもどんどん新しい事に挑戦して頑張りたいと思います。」と…紋寿さんもう七十歳位なのに。私感動しました!
今度再演する事があったら絶対観た方が良いですよ。マジ感動するから。

    吉田文吾さん 阿木燿子さん 桐竹紋寿さん リーダー 下手から 吉田文吾さん 阿木燿子さん 桐竹紋寿さん リーダー

by yoshikawa

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