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華麗なる美の競演 その舞台裏


 

     お久しぶりです。田中文也です。前回のリポートから半年、徐々に春が顔をのぞかせはじめ、
    卒業する学生さん達は、新たな期待に胸膨らませる季節となりました。

 

     暖冬の影響でつぼみもほころぶ3月4・5日、毎年恒例の大塚末子きもの学院の生徒たちによる
    卒業制作展・ファッションショーが行なわれました。今回はその仕込みのもようをリポートしていきたいと思います。

     大塚末子きもの学院は1954年に創立、後に開校されたテキスタイルデザイン、情報処理専門学校と共に
    現在は大塚学院として信濃町の静かな丘の上にありました。 

 


 

    春の卒業制作展以外にも秋には学園祭もあり、舞台衣裳科などもありファッションショーの他に演劇なども行われています。

学生さんたちが集合
 仕込み日の2月26日、学生さんたちが集合します。
  若者たちは朝から元気いっぱいハイテンションで器材が届くのを
  今や遅しと待ち受けています。

 そんな中校門から続く坂道を真っ赤なワゴンが駆け上がって来ると、
  思わず「おぉっ!カッコイイ!」と声が上がります。

  車両部のみなさんいつもピカピカにしてくれてありがとうございます。
機材車到着

搬入作業の開始
 いよいよ搬入作業の開始、玄関から二階の教室までは階段なので一仕事ですが、
  女の子たちも協力しあって手運びします。

  みんな無理しないで足元に気をつけて優しく運んでね。

 

 □会場となる201教室、間仕切りを取って広くしています。
  舞台上の蛍光灯は取り外され舞台装置は袖パネルと張り出しによる
  ランウェイが作られています。

  あとは照明を仕込めばステージの完成、もちろん遮光もバッチリです。

201教室

仕込み作業
 □仕込み作業も学生さんが中心になって行います。
  教室ではスポットを吊ることが出来ないので、SS(エスエス=ステージサイド)が
  メインになります。

  みんな図面をもらい、その見方と仕込みの内容や設置の仕方の説明を受けます。
  みんな真剣な表情。

 □三段スタンドを立て、三連アーム(通称トンボと呼ばれる)を取り付け
  スポットをのせてゆきます。慣れない手つきながらもみんな一所懸命、
  手分けして熱心に作業にあたります。
トンボつけてます

仕込み図

 

 教室も立派なステージに早替わり!

 ここで仕込みの中味を大公開、ちょっと頑張ればどんな場所でも
  素敵な舞台ができるところをご紹介しましょう。

  右は仕込み図面です。学生さんでも仕込めるように
  ケーブルの種類など一本一本まで細かく書かれています。

  さらに打ち合わせで説明された注意事項など必要であれば
  その都度自分で書き込んでゆきます。

  それと大事なのは自分の名前も書いておくこと、
  作業中つい置き忘れてしまうと誰のか分からなくなります。


  □まずはなにより電源がないと照明は点きません。電源は単相3線の60A(アンペア)でちょっとした家庭用程度です。
 
   以前は壁のコンセントを使い他の教室からも電源を引いてきていたようですが、毎回必要なので教室の外に増設してもらいました。
   おかげで大変便利です。増設が無理でも分電盤に予備のブレーカーがあればそこから電源をとることもできます。
電源
  □劇場などの仮設電源盤300A、400Aなどに比べるとたかが60Aですが、トータルで12kVA単純計算で(かなり乱暴ですが…)
   300Wのスポットであれば約40台仕込むことができます。

   ただし学生さんが主体となってイベントを企画運営する場合、
   電源回りに関しては本職の方(照明業者・電気設営業者等)に依頼することをお勧め致します。

2kw 12ch 調光UNIT直回路付×2台

 □続いて2kw 12ch 調光UNIT直回路付×2台
  DMX512(デジタル)対応で計24回路調光可能です。

  これは調光器と呼ばれる機材で、主幹電源から供給された電気を
  スポットに送るためのもので、調光卓の信号により出力を調整し
  それぞれの明るさを自由に変えることができます。

 □PAR36 300w ×18 台

  通称ミニパー、教室でタッパ(立端=高さ)もないためスタンドで
  上下(かみしも=上手、下手)共9台ずつ設置しSS(ステージサイドライト)
  としてランウェイを照らします。
PAR36 300w

KQS 500w
 KQS 500w ×4台

   Qスポットの名前で知られるフレネルレンズスポットです。
  本舞台前の面(つら)明かりがなかったため、平置きベース(通称オベタ)を付け
  FOOT(フットライト)として使用しました。
  (舞台前からの明かりがない場合に有効です)

 SLI 1.2kw ×4台

  LHQと呼ばれることも…、6尺(約180cm)のストリップライトです。
  通常は床に並べてホリゾントライトなどに使われます。
  3回路(3色)を自由に混ぜていろんな色を表現します。

  今回は電源容量の関係で2回路のみをパネル染めとして使用しました。

 MIP-6P 650w ×1台

  フォロースポット、いわゆるピンスポットです。
  アイリスシャッターで照射される円の大きさを自由に変えることができます。

  オペレータが手動で操作し、自由な場所に当てて強調することができます。
  ハロゲンランプを使用し、劇場などで使われるクセノンアークに対し
  「ランプピン」とも呼ばれます。

 □レプリコン LP-1536

  DMX対応のメモリー調光卓です。
  2段のプリセット段にそれぞれ36chフェーダがあり、XYクロスフェーダーで
  次々にシーンを変えられます。

  1段目をシーンフェーダとして使うと、36シーン×9ページのメモリーが可能です。
  バンプボタン(タッチスイッチ)付きで激しいアオリもOK!

 □スポットがすべて設置され、それぞれが調光器とケーブルでつながり調光卓がセットできると、パッチングという作業に入ります。

  これは調光器の各回路につなげられたスポットたちを調光卓のフェーダに使いやすい順番に並べ替え割り当ててゆく作業で、
  専用の機器を接続する場合もありますが、デジタル卓の場合はほとんどの機種にその機能に含まれています。

  パッチングが終わるとフェーダチェックといって実際にスポットたちがフェーダで点灯するかどうかの確認をします。
  断球といって電球が切れていたり、コンセントがきちんと刺さっていなかったりなどすると点灯しないため一本づつ送っていって
  点かないものはその場で問題を解決します。

点灯 SS下手  点灯 SS上手
            □フェーダごとにチェックを行った後、全ての灯体(スポット)を点灯しているところです。

             すべてOKになればフォーカシング(当たり合わせ=シューティング)作業です。
             均等に明るくなるようにスポットの向きを合わせてゆきます。

             必ず手袋をして火傷にはくれぐれも御用心!

パネル当て 下 
パネル
 パネル当て 上
     □パネル当ても2色ではありますが、素敵な雰囲気が出ています。1色づつでも微妙に混ぜて使ってもOK! 
      全体ではこんな感じで完成です。(少しカーテンが開いていますが…)

完成
     □すべての作業が終わると学生さんたちに操作の仕方のレクチャーを行なってやっと終了となります。

 


     以上、現場からのリポートでした。今回は仕込みのみのお手伝いのため本番の様子はご紹介できなく残念ですが、
    きっと素敵な衣裳の数々がこのステージ上で華やかに披露されたことでしょう。

      また、読者のみなさんの中にも学園祭などでちょっと照明を工夫すればより素晴らしい発表ができることを
    理解して頂けることを願い、今回のレポートを終了致します。

 

by 田中文也