フィンランド(フィンランド共和国)は、北ヨーロッパに位置する北欧諸国の1 つです。
北側はノルウェー、西側はスウェーデン、東はロシアと国境を接しており、その歴史はスウェーデンやロシアに統治されながら、
独立した経緯があり、貴族の趣味としての演劇という文化が無かったため、
基本的に現在でも演劇は庶民的な娯楽として根付いています。
公用語はフィンランド語とスウェーデン語で、基本的には通常会話はフィンランド語で話されていますが、
フィンランド語とスウェーデン語の両語表記が定められています。
スウェーデン語は一部の知識人の言葉、高貴な言語として認識されていますが、
スウェーデン語を話す人は3 パーセントくらいしかいないそうです。
フィンランドの演劇文化は、このような歴史や言語文化に影響を受けています。
フィンランドの首都ヘルシンキには、国立劇場、市立劇場と並んで、上演される演目はスウェーデン語のみというスウェーデン劇場があります。
一般市民に身近な演劇でスウェーデン語をさらに広げる、と意味を持っているようです。
このような劇場以外にも、ヘルシンキ市内には小さい劇場が町中に多数存在し、その劇場各々で劇団があるらしく、
日本で言う小劇場文化が盛んなようでした。
その中にはスウェーデン劇場と同様にスウェーデン語のみで上演する団体もあるということでした。
スウェーデン語をインテリの言語だと考えれば、それで芝居を作ることに意味があるのだと思います。
フィンランドでは年間の観劇人口が、ほぼ国の全人口と同数になるそうで、舞台が身近であると言えそうです。
私がこの国を訪れた5 月後半は、日照時間がとても長い時期になっていました。
6 月中旬には白夜の時期(1 日中太陽が沈まない現象が起きる期間)になるということで、
5 月の後半ではもう、23 時でやっと日暮れ、という感覚でした。朝の4 時には朝日が昇り、
21 時半を過ぎて日は落ちますが、夕暮れが比較的長く続きました。
おかげで、夜という感覚が鈍り、時差の関係も相まって時間の感覚はおかしくなったような気がします。
北欧だから涼しいだろうと思って服等は用意していきましたが、それだけ長い時間日が照っていて、
雨でも降らなければ日中はかなり暑くなり、持ち込んだ長袖はほとんど袖を通さずに、日本に持って帰ってくることになってしまいました。
実際、初夏のような天気が朝の8 時から21 時まで続くと、ずっと半袖のみで大丈夫、と感じました。
ヴァンター空港に着いた時から暑いと感じ(15 時)、移動中も暑いと感じ(19 時)、イマトラの劇場に着いて落ち着いてから見た窓の外は、
日は沈んでもまだまだ明るく、これで22 時かと驚かされました。